【第3回ビヨンドSDGs官民会議フォーラム】分科会サマリー|分科会4「エネルギーの脱炭素化とエネルギーへの普遍的アクセス」

2026.10.08

ビヨンドSDGs官民会議事務局からは、分科会における議論テーマとして、「①現状の課題認識」「②ありたい社会の方向性」「③目標の枠組み」「④実現手段・ガバナンスの大枠」が提示されています。第1回会合と第2回会合を通じて、各テーマについて、以下のような参加者の意見提示がありました。

「①現状の課題認識」についての見解

●個別イシューにおけるトレードオフ
・データセンターの電力需要 vs 発電に伴う排出の増加、エネルギーアクセスの阻害
 ※二酸化炭素排出以外にも、水資源の消費や電子廃棄物の増加(途上国への流出)というトレードオフも
・エネルギー密度の低い再エネ vs 土地利用・生態系
・SAFなどの新燃料の導入 vs 低コストのカーボンクレジットによるオフセット
・航空機による移動 vs CO2排出+感染症・テロのリスク
・日本の再エネの高コスト構造 vs 高コスト化の原因とされる中間マージンで支えられている業種(立地地域の地元企業や地元金融を含む)の裨益
・地産のエネルギー利用 vs コスト増

●大局的なトレードオフ
・都市 vs 地方
 ※電力消費が都市に集中する一方で、供給源は地方が多い。人口が減少する地方でどうやってインフラを維持するか
・コスト・経済発展 vs 安全保障(安定供給、地政学的リスク)・環境
・先進国 vs 途上国
・若者 vs 高齢者

●その他
・SDGs疲れ
 ※企業における社内理解・協力の低下、地域における意識の低下など
・企業における環境人材の高年齢化。あと5年もすれば、ごっそり退出となるリスク。他方で、若年層ではサステナをやりたい社員が少ない
・都心の大企業と地方の中小企業で課題が異なる。人材難の地方企業にとっては、AIが壁打ち相手になるのは重要。地域の再エネ発電事業者の倒産が相次いだが、当該地域には傷あとが残る
・地域課題の解決について話している時に、脱炭素やエネルギーの話は出にくい

「②ありたい社会の方向性」についての見解

●課題(トレードオフ)への対応手段(シナジー)
・エネルギー供給源の多様化
 ※電気も熱も。地熱の役割、AIデータセンター向けも含めて地産地消の役割
・エネルギー需要構造の見直し
 ※都市構造やライフスタイルの見直しも含めて
・土地利用の見直し
 ※どこに住むのが社会のためになるのか
・技術による最適化(IoTを用いたデマンドレスポンスなど)、研究開発の役割
・レジリエンスと気候変動影響への適応
・政府の政策による環境外部性の内部化(たとえば、カーボンプライシング)
・トレードオフの出方は地域ごとに異なる ※生態系影響など
 →シナジーも同様に地域ごとに考える必要あり ※経済成長のあり方など
・データセンターの増加で供給不足気味の電気を優先して使うべき分野の特定。その前段階としてデータセンターの省エネ化
・ソーラーシェアリング(農業)とバイオマス(林業)について、事業者・地権者が細分化しているのを大規模化することで効率を高める。エネ安保と食料安全保障にも寄与
・イノベーションによる解決(たとえば、宇宙太陽光)
・地域に閉じずに、地域間の連携や大都市との連携を積極的に
・エネルギーを中小企業と大企業をつなぐ共通言語とすべき

●価値観と経済活動の見直し
・価値観の見直しと行動変容
 - 「意識高い系」をネガティブではなく、カッコいいに
 - 「足るを知る」・充足性(sufficiency)、豊かさの見直し
 - コストのなかに安心・安全を含める
 - 教育の役割、メディアの役割
 - 途上国は先進国と同様の(持続可能ではない)豊かさにキャッチアップすべきなのか
  →ライフスタイルは多様ではないか
 - これらを可能とする基盤として、企業の情報開示やモノ・サービスのフットプリント表示
・経済活動の見直し
 - ブランディングの見直し ※いいものを高く売る
 - 脱炭素に関わる業種・職種のステータス向上 ※たとえば電気・機械を取り扱う理工系の職種
・AIの使い方(使うべき分野の特定など)
 - 大きなトレンドとして、AI利用が増えることは不可避
 - そのうえで、トレードオフを減らすためにAIを使うべき分野を特定すべきかどうか。特定する場合、用途に規制をかけるのか、画一的な規制ではなくAIを何に利用すべきかについてのリテラシー・社会規範の浸透をまずは図るべきなのか

●シナジーはきれいごと?
・現実のビジネスでは、サービスの提供が第一であって、シナジーはきれいごとに過ぎない側面あり
・全国民が携帯電話料金と同程度の金額を払うことで解決するならば、そうすべきとの議論も必要
・日本がどう経済成長するのかをまず考えるべき

「③目標の枠組み」についての見解

・既存のゴールの維持・継続がよい。これ以上野心的になっても、誰もついていけない
・個々のターゲットに対する一般の認知が高いとは言えないなかで、ターゲットを増やしていくのはあまり意味がないのではないか
・ムーンショット的な目標を掲げるのはよいが、そのままでは伝わりにくい。さまざまな立場の人が分かるような伝え方が大事。抽象的な表現だと理解されにくい
・ローカル指標はなかなか定着しなかった。サステナビリティの流れに乗っていれば十分で、目標を地元に落とし込むことの怖さがあったのではないか
・エネルギーアクセスの概念を、防災と関連づけてアップデートしてはどうか。気候変動で災害が激甚化するなか、災害時のエネルギー確保という課題がある
・メガソーラーの環境破壊や風力発電のバードストライクなど、環境負荷の概念が変わりつつある。自然資本に影響を与えにくいという観点も大事
・2024年のPact for the Futureとも整合させるべき

「④実現手段・ガバナンスの大枠」についての見解

・企業のサステナ委員会に若年層を一人入れる目標など、若年層のガバナンス関与の仕組みを入れてはどうか
・SDGsはソフトロー的であり、行動の後押しになりにくい。情報開示など、可能な分野で義務化された仕組みを入れるべき
・ボトムアップを単発でやっても持続しにくい。同時多発のボトムアップをどう作るかが大事
・担い手のエンパワーメントが大事。若者や地域の中小企業にどう広げていくか。意思決定の場にいろいろな主体が関われるようにして、情報の非対称性を埋めることが大事
・地域のビジョンづくりには対話が大事
・シナジーとトレードオフを測定することで、シナジー実現の再現性を高めていくべき